子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ

2002年 日本カトリック司教団が発表した「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」は以下の通りです:

日本の教会の聖職者、修道者、信徒のみなさんへ

 最近アメリカでの聖職者による子どもへの性的虐待と、その問題に対する全米司教総会に関する報道がなされています。私たち日本の司教も、このたび2002 年度定例司教総会において、この問題に重大な関心を持ち、討議いたしました。

 虐待は、無防備な子どものからだ、たましいに傷を負わせる恐ろしい犯罪です。とくにそれが、子どもの信頼している人々、つまり、司祭やその子どもの親たちによって犯された場合、とりわけ罪深いものです。教皇ヨハネ・パウロ二世は、「子どもたちに危害を加えるような者には、司祭職や修道生活での居場所はありません」、またそのような者は、「司祭職の恵みを裏切る者である」と明言しておられます。

 こうした事態にあって、私たち神の民である信者一人ひとりは、社会においてカトリック教会が真に救いのしるしとなることができるよう、それぞれの司牧と生活の現場で今まで以上に聖なるものになるように努め、真摯に働かなければならないと思います。

 私たち司教は、日本において教会のために働く人々が誠実であり、献身的であると確信しています。しかし、不幸にして日本の教会において聖職者、修道者による子どもへの性的虐待があったことが判明いたしました。私たちはこの点に関してこれまで十分に責任を果たしてこなかったことを反省します。私たち司教は、被害者の方々に対し誠実に対応するとともに、その加害者である聖職者、修道者に対しては厳正に対処いたします。

 子どもを保護し、心身ともに成熟した人間に成長させることは、すべての大人の義務です。とりわけ、大人の保護なくしては生きていくすべのない子どもたちを守り、育てていくことは、貧しい人、小さい人々に心を砕かれたイエスの道を生きる教会の使命です。人々の救いのために奉仕するという、この教会本来の使命を忠実に果たすことができるように、日本の教会は今後とも、子どもの人権擁護のための活動、またかれらの育成に携わる学校・施設で働く者、および聖職者、修道者の養成に力を注ぎます。

 皆さん、すべてのキリスト者とともに傷ついた被害者の方々の悲しみと苦しみを理解し、彼らのいやしと回復のために、いつくしみ深い神に祈り、また、全世界の教会がこの困難な状況を乗り越えるために、神からの恵みと力づけを祈りましょう。
 私たち日本の司教は、聖職者、修道者、信徒のみなさんとともに、日本においてこのようなことが起こらないよう、自らを正し、教会の刷新のために励んでいきたいと思います。

2002 年6 月21 日
日本カトリック司教協議会 司教一同